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第1編 株式移転の法律実務

第2 株式移転の法律手続と規制
4 株式移転の登記

(1) 株式移転の登記
株式移転では、完全子会社となる会社の株主の保有する株式は新たに設立する完全親会社に移転し、完全子会社の株主は対価として、完全親会社の株式、社債、新株予約権、新株予約権付社債、あるいは株式以外の財産の交付を受けます。
完全親会社が、株式、新株予約権、新株予約権付社債を発行する場合は登記をする必要があります。ところが、完全子会社では、それまでの株主にかわって新しく完全親会社が株主になるだけなので、完全子会社では登記をする必要がありません。もっとも完全子会社において新株予約権を発行している場合は、新株予約権の変更(消滅)登記をする必要が生じます。なお、株式交換の場合と異なり、設立される完全親会社は株式会社に限られます。
(イ) 移転の対価が株式の場合
完全親会社は、会社法925条1号から6号に掲げるいずれか遅い日から2週間以内に次のような内容の登記申請を行います。
(a) 登記の事由
平成○年○月○日株式移転による設立手続終了
(b) 登記すべき事項
会社法911条第3項の設立事項と同一の事項
(c) 課税標準金額
設立する会社の資本金の額
(d) 登録免許税
課税標準金額に1000分の7を乗じた額(この額が15万円に満たない場合は15万円)
(e) 添付書類
1) 株式移転計画書
2) 定款
3) 完全子会社の株式移転計画承認の株主総会議事録
4) 設立時代表取締役の選定等をしたことを証する書面
5) 設立時取締役、監査役、代表取締役の就任承諾書
6) 設立時取締役就任承諾書の印鑑について印鑑証明書
7) 完全子会社において債権者保護手続きをした場合には、債権者に対する異議申述の公告及び催告をしたことを証する書面
8) 異議を述べた債権者があるときは、その者に弁済、担保の提供、または信託会社に信託したことを証する書面
9) 官報の他に定款の規定した公告方法によって公告した場合には、格別の催告書に代えてその公告をしたことを証する書面
10) 株式移転をしても異義をのべた債権者を害するおそれが無い場合には、その債権者を害するおそれがないことを証する書面
11) 完全子会社が株券発行会社で、株券を発行している場合には、株券提出公告をしたことを証する書面(株券を発行していない場合は、株券を発行していないことを証する書面)
12) 完全子会社が新株予約権に係る新株予約権証券を発行している場合には、新株予約権証券提出公告をしたことを証する書面(新株予約権証券を発行していない場合は、新株予約権証券を発行していないことを証する書面)
13) 完全子会社の登記事項証明書(完全親会社の本店所在地を管轄する登記所が同一でない場合)
14) 資本の額が会社法の規定によって計上されたことを証する書面
15) 株主名簿管理人との契約を証する書面(株主名簿管理人を置く場合)
16) 設立時会計参与、会計監査人の就任承諾書および資格証明書(会計参与、会計監査人を置く場合)
17) 委任状(代理人による申請の場合)
(ロ) 移転の対価が新株予約権の場合
完全親会社の登記申請は、移転の対価が株式の場合とほぼ同じですが、登記すべき事項(上記(イ)の(b))には、新株予約権の発行事項(会社法911条3項12号に規定する事項)が加わり、登録免許税(上記(イ)の(d))は対価が株式の場合に9万円加算されます。
移転の対価が新株予約権の場合は完全子会社でも、移転の対価が新株予約権の場合は登記申請が必要となり、完全親会社の変更登記の申請と同時に次のような内容の登記申請が必要です。なお、完全親会社の本店所在地の登記所の管轄区域内に株式移転により設立する完全親会社の本店がないときは、完全親会社の本店所在地を管轄する登記所を経由して登記しなければなりません。
(a) 登記の事由
株式移転による第○回新株予約権消滅
(b) 登記すべき事項
1) 第○回新株予約権が消滅した旨
2) 消滅年月日
(c) 登録免許税
申請1件につき3万円
(d) 添付書類
1) 代表取締役の印鑑証明書
2) 委任状(代理人による申請の場合)